皮下注入法、血管確保が困難となった場合の一つの選択肢となります。経皮的に注入可能な薬剤は多くあり非常に有用な輸液法であります。手技は簡単で合併症も少ないと報告されています。
かなり以前の論文ですが皮下注入法についてまとめられています。昔に流し読みをして皮下注入法って概念を知り、実臨床で導入してきました。再度振り返って簡単に整理していこうと思います。

Hypodermoclysis : An Alternative Infusion Technique
Am Fam Physician 2001 Nov 1;64(9):1575-8


 皮下注入法は液体を皮下組織に注入する方法で、最小限の機器が必要なだけである。手技的には静脈内投与に比べて皮下組織に液体を投与するほうが容易である。ここ20年間で老人病学や緩和医療分野においてはこの方法を推奨するような論文が多数見られるようになったが、皮下注入法は、患者さんの年齢を問わず様々な病院治療や在宅看護の場面においての使用に適している。

(適応と禁忌)
 皮下への水分補給は経口で十分に液体を摂取できなくて、軽度から中等度の脱水があり静脈ラインの挿入が困難または非現実的である患者において適応とされる。皮下への水分補給は主に高齢医療や緩和医療の分野でなされている。
 皮下注入法の禁忌は少ししかなし。皮下注入法は輸液を急速に投与しなければならない時や虚脱、ショック、重症電解質異常または重症脱水症を合併した患者で大量の輸液が必要である場合は施行されるべきではない。患者がうっ血性心不全など、肺うっ血や肺水腫を来す危険性を増す場合もまた、刺入部からの出血の恐れがあるため、凝固異常もまた禁忌となる

(手技)
・部位
歩行できる患者では、皮下注入法の注入部位は腹部、上胸部、乳房の上部、肋間腔、肩甲骨部がある。ベッド上の患者ではむしろ、大腿、腹部、上腕外側が好まれる。輸液セットがトラブルなく長期間留置していても、1から4日後に針とチューブは交換すべきである。緩和ケア病棟での研究では、同一部位の使用期間は4.7日であった皮下注入による全投与期間は平均14日であった。テフロンカニューラを用いた別の研究では、同一部位使用期間は11.9±1.7日で、一方翼状針を使用した場合では5.3±0.5日であった。
・量と速度
溶液は1か所のルートに対して1ml/minの速度で重力に伴って皮下に注入可能である。したがって、1ルートにつき約1.5, 2箇所の別のルートがあれば24時間当たり3L投与可能となる。一晩中に12L投与可能であるため、日中はチューブから解放されうる。別の投与法としては、朝の初回投与前にヒアルロニダーゼを150単位投与しておく事によって、1日3回500mlをボーラス投与する方法がある。

・溶液と添加剤
通常、生理食塩水(0.9%)が注入されるが0.45%(倍希釈)生理食塩水、5%ブドウ糖: 生食=2:1混合液、あるいは5%ブドウ糖単独もしくは生食か2倍希釈生食が臨床現場では投与されている。以前の論文では5%ブドウ糖のような電解質を含まない溶液の急速注入の危険性が警告されていた。溶液1L当り150単位の濃度のヒアルロニダーゼ添加が効果的であるとされているが、この用量では不快感や、局所反応が生じうる。

ヒアルロニダーゼの添加は浮腫の予防に必ずしも必要ではないことがうかがえる報告が多数みられる。

img119(文献から引用)

(薬物副作用)
皮下注入法の危険性は、受け入れられている適応基準、ガイドラインに従って管理されているなら最小限である。薬物副作用はまれで、容易に避けることができ、主に溶液の選択、量、注入速度に依存している。
img120(文献から引用)