最近流行している風邪、発熱などは治癒したのであるが咳嗽が改善しないってことで来院される患者さんが多いようです。西洋薬や漢方薬を処方しますが治療薬に抵抗性で治療に苦労します。健常者であってもがんこな咳嗽はつらいものがあります。ましてや進行がん患者において、悲惨な症状であることは確かでありますが、なかなか難治性で治療に難渋することも多々あり”仕方ない”ですましている場面もないとはいえないように思います(疼痛コントロールより難しい?)。咳嗽の治療薬としてモルヒネを試してみても効果はいまひとつな場合も多くあります。
 この論文は難治性咳嗽にモルヒネの吸入を試みて効果があった症例についての報告です。全身投与よりも、症状出現の場である肺に存在しているオピオイド受容体を直接刺激するほうが効果的なのでしょうか(印象的には効果がありそうですが)。フルテキストは手にはいらないためアブストのみの紹介です。

Nebulized Morphine for Intractable Cough in Advanced Cancer : Two Case Reports.
J Palliat Med. 
2015 Mar;18(3):278-281. 

(背景)
 咳嗽は進行がん患者において悲惨な症状である。オピオイドは呼吸困難や咳嗽を含めた呼吸器症状の改善のために使用される。中枢性作用に付け加えて、オピオイドは肺に存在する末梢性オピオイド受容体を介して作用することが考えられている。それ故、慢性肺疾患やがんにおいてモルヒネの効果について検討されてきた。著者らは進行がん患者における難治性咳嗽をコントロールするためにモルヒネ吸入を用いた経験につき報告する。
(方法と結果)
 症例1は63歳女性の終末期肺がんで、激しい乾性咳嗽、呼吸困難、不眠を訴えていた。症例2は53歳女性の多発性肺転移を伴った胸腺がんで胸痛と呼吸困難を伴う激しい咳嗽で苦しんでいた。標準的な治療のもかかわらず、これら患者で咳嗽は改善がみられなかった。著者らはモルヒネのネブライザー吸入を行った。ハイドロクロロモルヒネ5ml+生食3ml、ネブライザーを用いて口より吸入を行った。モルヒネ投与量が10mgと15mgに増量した時、患者の咳嗽はそれぞれ中等度から軽症の症状に軽快した。オピオイドの重篤な全身性の副作用を経験することなく、患者は死亡または退院するまでモルヒネの吸入を継続した。
(結論)
 モルヒネの吸入はがんに伴う難治性咳嗽をコントロールするのに有効であり、モルヒネの吸入は簡便で安全であった。

 この論文に関連あるものをPubMedで検索していたら、呼吸困難に対するモルヒネの吸入はいろいろされているようですが、咳嗽に対する報告はそれほどないようです。難治性咳嗽に対する他の吸入療法として、局所麻酔薬であるリドカインによる治療についての論文がありました。この論文もフルテキストを読むことができずアブストのみの紹介となります。

Nebulized lidocaine in the treatment of intractable cough.
Am J Hosp Palliat Care. 
2013 Sep;30(6):587-9.


 米国で患者を促して医療供給者に会わせる症状でもっともありふれたものの一つに咳嗽がある。持続する咳嗽は、会話、食事、呼吸、睡眠といった日常活動を崩壊させ、身体的にも精神的にも過度に衰弱させうる。薬理学的治療としてデキストロメトルファン、オピオイド鎮咳薬、ベンゾナテート、イプラトロピウムの吸入、グアイフェネシンがある。リドカイン吸入によるいくらかの研究で咳嗽の抑制が報告されている。リドカインの吸入は、発声困難、口腔咽頭のしびれ、苦味を含む最小限の副作用で患者には許容範囲内であった。これまで実施された研究は、対象患者数が少なく、将来はリドカインとプラセボの無作為
比較試験が実施される必要があります。

 リドカインとプラセボの無作為
比較試験、可能なのかな?
アブストにはリドカインの濃度が記載されていませんが以前は気管支鏡前の前処置で2%リドカインをネブライザー吸入していた時期がありました。2%くらいなんでしょうか?そして、作用機序はどうなのかな?
 この論文に関連あるのを検索してみようと思います。