呼吸困難の評価、強度に関してはNRS(Numerical Rating Scale)やVAS(Visual Analogue Scale)を用いて行う場合が多いと思います。しかし、呼吸困難の持続時間、突発的な悪化などは疼痛ほどは評価していなかったような・・。疼痛の評価では強度、持続期間、突出痛の有無や回数、増悪因子、軽快因子などいろいろな角度から評価してますが呼吸困難に関しては疼痛と同様に詳しく評価 (きちんと系統だてての評価)されているのでしょうか?
 この論文では、呼吸困難を突発性と持続性に大きく分け、増悪因子の有無・種類、持続時間の長短でさらに細かく分類しています。

Episodic and Continuous Breathlessness : A New Categorization of Breathlessness.
J Pain Symptom Manage 
2013 Jun;45(6):1019-29.


(背景)
 呼吸困難は、アメリカ胸部疾患学会によると"深さの異なる質的に別の感覚からなる呼吸の不便さを主観的に経験すること"と定義されている。呼吸困難は進行性疾患のよくみられる苦しい症状である。呼吸困難は、たとえば世界中でもっともありふれた疾患の2つである慢性閉塞性肺疾患(COPD)(90~95%)または肺がん(78%)の患者に頻繁に認める。呼吸困難に関する豊富な
研究で、呼吸困難によって日常生活にもたらされる厄介な影響について言及している。しかしながら、呼吸困難の管理は複雑でいまだに不十分である。さらには、呼吸困難は健康管理システムにとっては高くつく要因である。すなわち、緊急入院を招く臨床症状の1つだからである。
 呼吸困難の表現と推移は強さに関して変化する。患者は、不快でしばしばパニックを引き起こす突然発症する偶発的または急性のイベントとして呼吸困難のエピソードを述べている。これらエピソードは、階段を昇ることや歩行、または会話でさえしばしば引き金の動作となる。対照的に、呼吸困難はたとえ安静にしていても常に、患者にとって持続する負担として存在しうるものである。Reddyらは、呼吸困難エピソードの持続時間や頻度と突発的そして持続的な呼吸困難での強度について述べるために突発性(episodic or breakthrough)呼吸困難と持続性(continuous or constant)呼吸困難の2つのカテゴリーを用いた。この70名のがん患者における記述調査で、スクリーニング質問(あなたはどのくらい息切れしますか?)を用いて、回答をグループ分けした。「ずっと」と「ほとんどの時間」を持続性呼吸困難、「時々」と「ほとんどなにもない」を突発性呼吸困難とした。2つのカテゴリーを用いることは他の研究で支持されている。しかしながら、2つの主なカテゴリーは、患者経験に基づいて互いに明白に区別ができるかどうか、そしてどのようなサブカテゴリーが存在するのかについては、いまだに不明白である。著者らが知る限り、カテゴリーが互いにどのように関連しているかについて記述している呼吸困難の細分化は存在しない。カテゴリーの標準化とはっきりと定義された規則の欠如は臨床ケアや呼吸困難の研究においてのさらなる発展の妨げとなる。臨床評価は、管理について説明するための適切な診断を得るために明白に定義され、よく説明されたカテゴリーと基準を必要としている。研究において、細分化の欠如は各研究の比較を困難または不可能なものにし、系統的レビューや臨床試験を妨げます。

(目的)
 呼吸困難を細分化するために患者の呼吸困難の経験と説明につき説明する。

(方法)
 この試験は徹底的な
4つの生命にかかわる進行疾患(慢性心不全:CHF、慢性閉塞性肺疾患:COPD、肺がん:LC、運動ニューロン病:MND)で苦しんでいる患者との対面インタビュー形式の質的研究である。インタビューはテープ録音されて、正確に言葉通りに筆記されて、Framework分析を用いて分析した。

(結果)
 合計51名の参加者にインタビューを行った(年齢68.2±11.6、51名中30名が男性、平均karnofsky 60%、呼吸困難強度3.2
±1.7/10)。突発性呼吸困難と持続性呼吸困難が主カテゴリーでサブカテゴリーはそれぞれトリガー有・無、短期・長期であった。
img146(文献から引用)
img148(文献から引用)
もっとも頻度が高く毎日の生活で影響が強いのは、労作が引き金となる突発性呼吸困難、トリガー無しの突発性呼吸困難、長期間の持続性呼吸困難であった。
img147(文献から引用)
労作による呼吸困難はほぼすべての参加者に認めた。突発性呼吸困難と持続性呼吸困難は時間によって区別可能であった。突発性呼吸困難は単独または持続性呼吸困難と共に認めた。
img145(文献から引用)

(結論)
 参加者(参加した患者)は自分たちの呼吸困難を時間とトリガーによって、細分化している。細分化には、既に痛みに関しては確立されているのと同様に、さらなる確認が必要である。そして、新しいエビデンスに基づいた細分化として使用されれば、我々の
このまだ充分に研究されていない、がしかし、影響力が強い臨床症状に対する理解が深まり、適切な処置に繋がるようになるだろう。