がん患者での希望する療養の場と死を迎える場のアンケート調査では在宅療養を希望される患者が多いが最期を迎える場所としては色々な原因で自宅を選択されない傾向にあるようです。好きな場所で最期を迎える1つの障壁として介護者の負担が考えられますが、介護者の負担についてのデーターは多くは存在しないようです。
 この論文は、死を迎える場所と死の質との関連について調査し、介護者の負担との関連についても検討されています。

Place of Death and the Differences in Patient Quality of Death and Dying and Caregiver Burden
J Clin Oncol.  2015 Feb 1;33(4):357-63.


(背景)
 緩和ケアの2つの主要なゴールは患者の死亡するまでのQOLを改善し、家族の介護者の負担(苦しみ)を緩和することである。死を迎える場所は緩和ケアにおいて重要である、というのは好ましい場所に居る(being)ことは、終末期患者において善き死(good death)を迎えるのに重要な構成要素であると認識されているからである。最近、大規模な世界的調査において、大部分の患者は死を迎えるときは自宅で過ごしたいが、現実的には多くの患者は自宅で死を迎えることができていないことが示唆される。在宅での終末期ケアは多くの研究で、家族のより大きな満足とより良い患者の転帰につながっていることがわかってきている。しかしながら、死を迎える場所と
死と死ぬときの質と介護者の負担の影響に関する研究は不足している。Coping With Cancer研究からの最近の研究で、患者家族が報告した終末期でのQOLは病院で亡くなった患者の家族よりも在宅で亡くなった患者の家族の方が高かったと指摘している。しかしながら、患者のQOLは簡潔な3つの項目を用いて評価されている(全体でのQOL、身体的苦悩、精神的苦悩)。より包括的手段を用いて、死を迎える場所と患者・家族が終末期に経験することとの関連を調査することによって患者の死と死ぬことの質について数値化することは価値あるものになりうる。

(目的)
 死を迎える場所と死と死ぬことの質との関連と終末期がん患者と家族の介護者の負担について調査する。

(方法)
 2つの死別調査が2008年10月から2011年10月まで行われた。死去したがん患者の介護者の
合計2247名からメール調査への返答があった(反応率67%)。家族は善き死と介護の結果の目録(Good Death Inventory and Caregiving Consequences Inventory)より患者の死と死ぬときの質と介護者の負担について報告した。
img164(文献から引用)

(結果)
 3340名の家族介護者にアンケートを送り、2247名から返事があった(反応率67%)。
img162(文献から引用)
 患者と家族の特性は、死を迎える場所に関しては有意差は認めなかった。
 死と死ぬときの質に関する平均スコアは在宅、緩和ケア病棟、一般病院それぞれ5.1、4.7、4.4であった。線形mixed-effectモデルにおいて、死と死ぬことの質という観点で補正すると平均値は有意に異なっていた。最も高いスコアは在宅で次いで緩和ケア病棟、一般病院であった。
 患者と家族内介護者との関係は死と死に至るまでの質にはあまり関係なかったが、患者の質の評価は、患者の死亡と調査時期の間隔によって異なっていた。すなわち、患者死亡後16~18ヶ月の間に家族内介護者から提出された評価は7~9ヶ月の間に提供されたそれと比べて明らかに低いものだった。
img161(文献から引用)
 「他の人のために負担ではない」ことを除けば、共分散モデル分析をおこなうとすべての項目において死を迎える場所によって顕著に変化がみられた。
img163(文献から引用)
事後のテスト(post hoc test)では、「好きな場所で死ぬ」、医療従事者との良い関係」、「家族と良い関係」、「希望と楽しみの維持」、そして「自尊心の維持」に関しては、在宅は緩和ケア病棟より優れていることを示していた。
img165(文献から引用)
 介護者の負担は在宅、緩和ケア病棟、一般病棟それぞれ、3.8、4.0、4.0であった。患者そして、または介護者の特性を補正した後、在宅と一般病棟は有意に異なっていた。
 金銭面の負担は、死を迎える場所に関して有意に異なっていた唯一介護者の領域であった(Fig.2B)。事後のテストで、在宅死は病院死と比べて有意に金銭的負担が低いことに関連していた(3.2 vs 3.6 P=0.004)。

(結論)
 在宅死は介護者の負担を増加させることなく終末期がん患者における善き死を迎えるのに寄与するであろう。死を迎える場所は終末期ケアにおける本質的なゴールであることを考慮すべきである。